契約書の読み方
オーディションに合格した後、場合によっては契約書を交わすこともあります。
契約書というと何やら難しいことが書かれていて、ついつい読み飛ばしてしまう人も多いのではないでしょうか。
しかし、場合によっては芸能活動を左右するようなことも書かれていることもあるので、しっかりと読むようにしましょう。
契約書を読むときのポイントを紹介します。
契約書はなぜ必要?
契約とは、お互いの権利や義務を約束するものです。ですから、契約は口頭でもかまいません。しかし、裁判になったときにどのような契約だったのかを証明するのは、契約書がないと大変難しいものです。つまり、「言った言わない」の水掛け論を防ぐために契約書が必要ということです。
どのようなことを契約するのか
例えば、芸能事務所のオーディションに合格した時は、あなたと事務所がお互いに果たさないといけない義務や行使できる権利について取り決めて、契約します。例えば次のようなことを取り決めます。
【例】あなたが果たさないといけない義務
- 決められたレッスンに通う。
- 決められた日にきちんと出演したり撮影したりする。
- 宣伝に協力する。
など。
【例】事務所が持つ権利や果たさないといけない義務
- 宣材写真の使用権
- 出演作品の配布権
- 事務所があなたに支払う報酬について(歩合制なのか給料制なのか)
など。
契約書にはこれからあなたが芸能界で活動するうえでとても大切なことが書かれています。しっかり読みましょう。
法律に違反するような契約は無効
例えば、「1年間休みなしで働くこと」というようなことが契約書に書かれていて、それをうっかり見逃して契約してしまったとしても、無効になります。労働基準法に違反するからです。このように法律に違反するような契約は無効となり、法律の範囲内で契約は修正されます。
また、契約書に書かれていないことは、民法などが適用されます。例えば、あなたの芸能活動を通しての著作物などについて、契約が交わされていなければ、著作権法などの一般的なルールが適用されます。
基本契約書と個別契約書の関係
出演、出版、発売など何か事あるたびに全てを網羅した契約書を交わすのは大変です。
そこで、基本的な契約事項を記した基本契約書で契約した後、活動毎に基本契約書に基づいた個別契約書で契約することがあります。また、個別契約書は覚書として書かれることもあります。
抑えておきたい一般条項
一般条項とはどのような契約書にも登場する条項のことです。特に重要なものをあげますので、ポイントを抑えておきましょう。
「契約期間」
契約の始まりと終わりが書いてある条項です。”本契約の有効期間”などとして記されています。いつ契約が終わるのか把握しておきましょう。
「解除事由」
契約を解除・解約する/されるための条件が記されています。こんなことしたら契約を解除されるということが書かれています。また、事務所側からの解除条件ばかり目がいきがちですが、こちらが解除できる条件も書かれてあるかチェックしましょう。書かれていないと、契約期間内で一方的に契約上の義務から開放されないことになります。あなたが行使できる解除権について書かれていない場合は修正を求めるようにしましょう。
「解除の効果」
解除となった場合どうなるかということが書かれています。ちなみに解除とは、契約をなかったことにすることです。したがって、契約期間中に借りた衣装などは返却する必要があります。また、解除の効果に「1億円を支払うこと」などと、あまりに不当なことが書かれている場合は修正を求めるとよいでしょう。
「守秘義務」
あなたが契約期間中に知った秘密情報や個人情報を他の人に漏らしてはいけないということが書かれています。漏らしてはいけないことを、うっかりSNSに投稿してしまって問題になることがあります。常に守秘義務があることを意識しておくとよいでしょう。